【特発性正常圧水頭症】

■認知症は治らないと諦めてませんか?

痴呆の種類にもいろいろありますが、治るものもあります。

それが特発性正常圧水頭症です。

お年寄りが元気をなくし、関心や意欲が薄れて、ぼんやり過ごすことが多くなると、

認知症(痴呆)が疑われます。
アルツハイマー型認知症(痴呆)や脳卒中後遺症がよく知られているため、

「認知症(痴呆)=治療困難」と思われていますが、

しかし、実際には「特発性正常圧水頭症」など治る認知症(痴呆)がいくつかあるのです。

 

 

■特発性正常水頭症とは?

お年寄りの歩き方がぎこちなくなり、ぼんやりし、尿をもらすようになる。

家族は「年だから」とあきらめがちだが、ひょっとして「治る痴呆」の代表

「特発性正常圧水頭症」の可能性があるかも知れないと言われています。
「手術を受けず、そのままだといずれ、本当にぼけて寝たきりになる。

見逃されている患者さんを一人でも減らしたい」と、北野病院(大阪市北区)の

石川正恒・脳神経外科部長は機会があるごとに訴えています。

水頭症は脳の中や周囲にある脳脊髄液(髄液)が多くたまる病気だ。

大人で起こる、脳圧があまり高くない「正常圧水頭症」の大半は、

くも膜下出血や頭のけが、髄膜炎などの後遺症として(=続発性)流路が詰まって起こる。

ところが、症状は同じだが特別な原因がないのに(=特発性)起きるものが約1割あり、

特発性正常圧水頭症と呼ばれています。

歩行障害、軽い痴呆、尿失禁が正常圧水頭症の三大症状です。

なかでも、小刻みですり足、よちよち歩きなどの歩行障害はほぼ全員に見られる。

余分な髄液を管を引いておなかに流す髄液シャント手術で、

どの症状も改善する可能性があります。

 

 

■特発性正常水頭症が疑われる方への御願い

特発性正常圧水頭症という病気はあまり聞きなれない病気かもしれません。

また水頭症という病名をきいたことのある方で「頭に水が溜まる病気」だと

知っていても、水頭症だから子供の病気だと思われる方もいらっしゃるでしょう。

しかしこの病気は高齢者の病気です。「お年寄りの水頭症」といっても良いでしょう。

病気の原因はまだ分かっていません。

 

この病気の主な症状は3つで、歩行障害(歩きにくさ、足がもつれる)と

痴呆症(いわゆるボケ、忘れっぽい)、それに尿失禁(オシッコをもらす)です。

病気がはじまったころは歩行障害だけのこともあり、低い段差でもつまずいて

転びやすくなります。歳とともに、ころびやすいと感じたら、一度検査して見て下さい。

 

しかし進行すると最終的には寝たきりになってしまいます。診断は大変に難しく、

多くの患者が見逃されています。診断が難しい理由は、症状の多くが「年のせい」として

片付けられていることと、もう一つはCTやMRIといった進歩した検査でも

「高齢のための脳萎縮」と考えられてしまうからです。

 

診断の決め手になるのは腰椎穿刺といって、腰から背中に細い針を刺して脳脊髄液

(脳を浮かべている水)をたくさん排除してみることです。

ただし、この検査では歩行障害はすぐに改善しますが、痴呆症まではすぐに良くなりません。

この病気は原因がまだ良く分からず、またどうすれば正しく診断できるかも十分には

分かっていません。当院ではお年寄りで歩きにくく、CTやMRIで脳に水が溜まっていると

疑われる方に対して、特発性正常圧水頭症を疑って積極的に検査・治療をしています。

治療としては脳室ー右心房シャントという手術を行い、良好な結果を得ています。

 

残念ながら日本でも外国でもこの病気がまだ十分知られていません。

少しでも多くの方を正しく診断して治療するために、検査を受けられた皆さまの検査結果を、

研究のための資料とさせていただけるよう御願いいたします。

検査結果は全て名前を伏せて利用させていただきますので個人の情報(プライバシー)が

外部に漏れることは絶対にありませんのでご安心ください。

 

 

診療担当・高木 清医師 (診療日・毎週金曜日)